名人が関東圏のそば処・山梨県の店を弟子に譲り、
この広島県豊平町へ引越して、定住して、
雪花山房「達磨」という店を開業したから、その奇抜な発想に驚かされた。
日本のそば打ち第一人者と言えばこの人しかいない。
それはNHKの特別番組「趣味悠々」に登場されたことでも
わかるその名を高橋邦弘という。
豊平の店の営業日は限られる。
営業日が月に5日もあればいい方だ。
残りは北海道や東北や東京などそば打ちイベントに招かれで出張がある。
その合間を縫ってそば教室を開講される。
これも月に3回(三日)もあればいい方だ。
その8月1日のそば教室で指南を受けた。
初心者のうちは特に注意されることもなかったが
2段位を授かり、この冬には3段位に挑戦するレベルに達すると名人の
指導に力が入りる。

とくに厳しく指導されたのが切りだ。
包丁の先とその中ほどだけ使って、手前を使って切っていないと、何度も指摘された。
要するに包丁の真ん中が、まな板の手前端から出るので、先端だけで麺を
使っ切っているという。
これを徹底的に指導された。
この先生にはファンが多い。

女性陣が圧倒的だが、
この先生が威張らないのがいいのだろう。
それにやさしいそうだ。
この先生が好きなのはまずそばうちの仕事を
弟子であれ任せて、いかにも自分が打ったような商売をしないところが
いいからだ。
高橋邦弘の名で売れば客はワンサと来るだろう。
朝顔だして、あとは左ウチワで高校野球をという甘い発想はない。
自分のそばを食べに来たお客さんに、弟子が打ったそばを食べさすわけにはいかない、
そのゴクあたりまえのことを続けているに過ぎないという。
この名人は、師匠と呼ばれようが、日本の第一人者だともてはやされようと、やはり職人だ自覚しているのがわかる。
弟子から修行を重ねてここまで来たのだろう。
その一生を職人で終えるのがこの人の夢であろう。
イベントの後片付けも全部自分でやる。
弟子にまかせてお客と酒宴はできない性質だ。
雑巾で拭いて、道具を片付けてその日が終わるのであろう。
この先生のワザも見事なものだ。
とくに包丁さばき。そのスピードこそだれにもまねのできない。
それに麺のほんのしで、何度やっても同じ大きさの四角ができるところであろう。
それに麺に切れ残りがない。これなども名人ワザかもしれない。
朝食は先生の手打ちそばを腹いっぱいご馳走になった。
この細くて腰のあるそばを濃い目の関東風のツユで食べる。
だから、麺の先をツユに浸してそのままたぐりこめば丁度
いい味になる。
この日午後、五日市町で会社の納涼イベントに手打ちそばを
供することになっていたので、最後に1.3キロを打たせてもらった。
できあがりは良かったが、やはり包丁さばきを指摘された。
きょうの生徒さんはプロばかりで、指南を求めて静岡や大阪など
遠くからわざわざ来訪された方ばかりのようです。
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